機材をどのように運ぶかで悩んでいる人は多いのではないだろうか?私もその一人だ。
車を持っていれば解決する部分も多いが、私はあいにく車を所持していない。都心部に住んでいる方だと車を持っていない方も多いだろう。
日本でドラム再開にあたって一番困ったのは、この機材運搬だったと言っても良い。
このPROTECTIONRACKET のスネアケースは私の悩みを解決するのに最適であった。現状、これ以上のスネアケースは見当たらない。早速、紹介したいと思う。
プロテクションラケットのTZ3016の特徴
TZ3016のメリット
一番の特徴はツインペダルとスネアの両方を収納出来ることだろう。さらに、ハイハットシンバルも収納可能だ。
ツインペダルだけの専用ケースは多数あるが、スネアケースとツインペダルのケースが別になると持ち運びが非常に困難になる。そのため、一体型のこちらのスネアケースは非常にありがたい。
ツインペダルとスネアの両方を収納出来るソフトケースはいくつかあるが、このプロテクションラケットのケースが最も優れていると思う。
この収納力が一番のメリットであることは間違いない。
TZ3016のデメリット
自立できない
気になる点は自立できないことだ。
このケースはソフトケースなので立ったまま置いておくことは出来ない。写真では壁に立てかけているから立っているように見えるだけだ。
リハーサルスタジオでもライブハウスでも、ドラムセットは大抵は壁の近くにあるのでそこまで大きな問題は無いと思う。
ウエストベルトが無い
個人的にはこれも大きなデメリットだ。スネアやシンバル、ツインペダルなどを収納すると重量が大きくなる。
15キロを超えることも珍しくない。それを考慮すると、このケースは背負うための作りは少し雑である。
例えば、バックパッカー用の大型リュックは必ず腰とリュックを固定出来るウエストベルトが付いている。
このウエストベルトによって肩にかかる負担を大きく軽減出来る。
もしも、このスネアケースにウエストベルトが付いていれば、背負った際の肩の負担をかなり減らせたと思う。
しかし、ウエストベルトが邪魔だと考える人もいるし、恐らくメーカー側は長時間背負うことは考慮していないのだろう。
大きすぎる
ケースが全体として大きすぎる。恐らく、小柄な人にはかなり使いにくいだろう。
特に問題なのが、肩の紐がすぐにゆるくなってしまうことだ。
運んでいると分かるが、自分の体格に合わせて紐をキッチリ調節しないと、かなり運搬が厳しい。なにせ大きくて重いからだ。
この肩紐が緩むと体へのフィット感が無くなってしまい、腰や肩への負担が大きくなってしまう。
外国人用に作られているのか、ケース自体が大きいし、かなり肩紐も長めになっている。私は174センチくらいだが、肩紐を一番短くして使っていてちょうど良い。
それでもこのケースは大きすぎると感じている。女性や体の小さい人にはこのケース自体が大きすぎて、あだ名が亀仙人になるかもしれない。
そして、かなり使いにくいだろう。ケースの下側がお尻にまで到達してしまうからだ。
こうなると歩く度にケース自体がお尻に当たって、運搬にストレスを感じると思う。
サウンドハウスのレビューでは164センチの方は、やはり使いにくいようで酷評していたので小柄な方は必ず現物を確認してから買った方が良い。
TZ3016を部位別に紹介
デメリットが目立ってしまったが、収納力は最強だ。
それぞれ、どんなものを収納できるのか、私の例で見てみよう。
前部の上ポケット
この上ポケットはマチが少ない。
マチとは、まあつまり深さ、(ここでは厚さか?)のことだ。
こんな感じだ。厚みのあるもの、大きなものは入らない。
私はハイハットクラッチやペダルのビーター、その他、ドラムのミュート材やイヤフォンケーブルなど、細々したものをここに収納している。
前部の下部ポケット
下部ポケットは上部に比べるとマチもある。
ただし、長さが少し足りなくてスティックは入らない。
これは上部ポケットも同様だ。スティックは収納出来ないので注意しよう。
今回は普段使っているZOOMのQ8レコーダーを入れてみた。
正直、これを入れるのはかなりギリギリだった。しかし、このくらいのものも頑張れば収納できるくらいのマチがある。
普段、私は飲み物をここに入れることが多い。
スネア収納部位
それではスネアを収納するケースの上半分を見ていこう。
ハイハット収納部位
ケースを開けると、中敷きが一枚敷いてある。
ここにはクラッシュシンバルやハイハットシンバル、スプラッシュシンバルの収納が可能だ。
私はこのようにしてハイハット2枚を収納している。もちろんハイハット2枚の間に別の中敷きを挟むのを忘れないようにしよう。
(このハイハット間の中敷きはプロラケのケースには付属していないので別途用意する必要がある。)
縦に立てたまま撮ったので、ハイハットが下にずれ込んでいるが本来はもっと上側に収納されている。
何とか16のクラッシュシンバルまでは収納出来なくはないがお勧めはしない。18クラッシュはどうやっても入らなかった。
基本的に14インチのハイハット(試していないが15インチのハイハットなら問題ないと思う。)、もしくはスプラッシュシンバルを収納すると良いと思う。
スネア収納部位
こちらがスネアを収納する場所だ。
白いモコモコで覆われている。かなり作りはしっかりしていて、大事なスネアも確実に保護してくれる。
棒でケースを突きまくる、高い所から落とすなど、相当なことをしない限りはこのケースに収納しておけばシェルに傷がつくようなことはあり得ないと思う。
スネアを収納するとこんな感じになる。これは深さが6半の14インチスネアである。
8インチスネアも収納出来る?
8インチスネアは試したことが無いので分からないがギリギリ入るかもしれない。測ってみたところ、6半だと5センチ弱の余裕があったからだ。
しかし、8インチスネアだとハイハットの収納は無理になるし、かなりギリギリであることは間違いないと思う。
全面あたりのスネアは収納可能
ちなみに、全面あたりのスネアは収納出来るのか、というと収納自体は可能だ。
以前に所持していた6半のSONOR、80年代シグネイチャーモデルが超ギリギリであるが何とか収納出来た。あのスネアが収納出来るのだから、ludwigのスーパーセンシティブも収納可能だろう。
ただ、収納出来ることと安全性は別である。私は全面あたりのスネアは単体のスネアケースに収納した方が良いと思う。
5インチのスネアの収納は?
5インチのスネアも当然収納は出来る。たまに5インチのアクロライトを収納するが特に問題は無かった。
ただし、さすがにスペースが空きすぎるので、タオルか何かでスペースを埋めた方がスネアが中にしっかりおさまって良いと思う。
以上のことを考えると、5半スネア収納用のTZ3015よりもこちらのTZ3016を買っておくことをお勧めする。大は小を兼ねるのである。
絶対に6インチや6半スネアは使わない、5半か5インチスネアだ!というならTZ3015で良いと思う。
ペダル収納部位
ケースの下部分がペダル収納スペースとなっている。
スネアケース収納部とは違って、作りは簡素である。強度は問題ないので数年は余裕で使えると思う。
一番問題が出そうなのは、ツインペダルを仕切る中敷きだ。これは両端をマジックテープで止めるようになっていて外すことも出来るのだが、強度が少し低い。
恐らくは、この中敷きが一番始めにダメになりそうな気がしている。このパーツだけ別売りしてくれたら最高なのだが・・・
では、早速このペダル収納部位にツインペダルを入れてみよう。
写真がブレているが許して欲しい。
ちなみにペダルはDW9000シリーズのXFである。フットボードがロング版でかなり大きいが、収納には問題無かった。
スレイブペダル(サブのペダル)の底の板面積が小さいから入ったのだと思う。もしもスレイブペダルもメインペダルと同じだけ底が広かったら入らなかったかもしれない。
つまり、収納に問題ないとは言っているが、メインペダルはかなりギリギリ入っている感じだ。ペダルによっては入らないモノもあると思う。AXISとかは無理なのではないだろうか。
さらに収納する
私はがんがんペダルの上に物を収納している。
入れているもの一例を紹介しよう。
スティックケース、ドラム用の靴、コンデンサーマイク
滑り止め用のシート、カメラの三脚、シンバルブーム
シンバルスタンド、タムホルダー
これだけのものを収納している。驚愕の収納力だろう。
こんなに入れて問題ないの?と思うだろうか。問題大アリである。なので、人にはお勧めしない。
ペダルケースへの収納方法
まず、ペダルの上に滑り止め用のシートを敷く。
これも写真がブレているが許して欲しい。
始めはこのシートを敷かずにガンガンハードウェアを入れていたので、ペダルのフットボードが傷ついてしまった。注意しよう。
後はこのシートの上に適当に全部ぶち込むだけだ。
今回はそのまま収納してしまったが、普段はハードウェア類がペダルを傷つけないようにタオルを使ったりしてもう少し気をつけている。
それでも中敷きには大きな負担がかかるので、長くケースを使いたい、ツインペダルを大切にしたいという場合には詰め込みはお勧めしない。
最後にスティックケースを乗せて完了だ。
ここまで収納すると、かなりパンパンになる。
普段はハードウェア類はハードウェアケースに入れて運んでいる。フットペダルも精密機械なので、余裕をもって安全に収納したい気持ちはあるからだ。
そして、重量が大変なことになるので、ハードウェアはなるべく別にしたいとは思っている。
しかし、雨の日で運搬が厳しい時などは、上記例のようにこのスネアケースにたくさん詰め込んで運んでいる。
運搬時の注意点
上記のようにパンパンになるまで詰め込むと重量がヤバイ。上の例では合計概ね20キロくらいになる。
まず、持ち上げるのもかなり力が必要だ。
ケースのてっぺんには、しっかり目の取っ手が付いている。しかし、ここを手で持つと体勢的に中腰になるか、もしくは足にケースが当たってしまうかで持ち運びが非常にキツイ。
重量次第ではあるが基本的には手に持って運搬出来るとは思わない方が良い。
スネアとペダルだけにすれば10キロ程度だと思うので、比較的楽に運べるかもしれない。20キロあるとキツイ。
そして、これを背負って歩くとなると、かなり肩に負担がかかる。始めにデメリットでも述べたが、ウエストベルトが無いのが痛い。
一応、ショルダーベルトはあるのだが、こちらも貧相なのであまり役に立たない。そこで、私は肩の負担を減らすためにショルダーパッドを巻いている。
ジェルトロンというブランドのショルダーパッドだ。
サイズLのもので、1枚で3000円くらいしたと思う。2つ必要なので合計で6000円だ。
サイズがMだと幅が足りなくて巻けない可能性が高いのでLを購入することをお勧めする。
6000円の価値があるのかと言われると正直微妙だ。しかし、これが無ければ肩が死んでしまうので私には必須である。
では、これがあれば肩が楽なのか?と言うとそんなことはない。めちゃくちゃ痛くなる。少し負担が軽減されるくらいと考えた方が良い。
レビューでは「全然重さを感じなくなって感動しましたー!」みたいなレビューがたくさんあって期待したが、見事に裏切られた。
カメラのバッグとか軽めのものだったから効果を感じたのだろう。さすがに20キロ以上あったら重さを感じない訳がない。
なので、このスネアケースを背負っての長時間の徒歩移動は難しいと思う。
ちなみに、私はこれにプラスして10タムケースとシンバルケース、ハードウェアケースも運ばなければいけない。
両腕と肩が本当にやばい。最高で徒歩移動30分くらい頑張ったが、それだけで死にかけてリハどころでは無かった。
なので、基本的には自転車でスタジオまで移動している。自転車の後ろカゴにスネアケースがちょうど乗るので、移動時は全く肩には負担がかからない。
自転車で移動出来ない距離のスタジオに行く時は荷物を軽くするか、誰かに迎えに来てもらうようにしている。とにかく重すぎて長距離の移動は厳しい。
プロテクションラケット ) TZ3016の総合評価
正直、これ以上のスネアケースは無いと思っている。車を持っていない人、学生の機材運搬には大きく役立ってくれるはずだ。
台車を使わずに、スネア・ツインペダル・シンバル類・10タム・ハードウェア(少量)の全てを一人で運ぶにはこのスネアケースを使う方法以外、思い浮かばない。
仮に1ペダルだとしても、反対のスペースに色々なものを収納出来るのでお勧めだ。
問題は重量だけである。とにかく重くなるので、私のようにショルダーパッドを取り入れるなど工夫をした方が良い。
また、小柄な人にはスネアケース自体が大き過ぎて運搬しにくいと思う。174センチの私でほぼギリギリに感じている。
逆にかなり大柄な人にはピッタリフィットするはずなので超絶オススメである。機材にこだわりがあるけど車が無くて運搬に困っている人はぜひ参考にして欲しい。
キャンペーンなどで例外はあるが、サウンドハウスで購入するのが最も安いと思う。