ludwigは今でも現役のドラムメーカーだが、ビンテージのludwigは非常に根強い人気がある。
usadrumshopでも主に60年代~70年代のラディックドラムを仕入れていたが、すぐに売れてしまうことが多かった。
今回は、60年代ludwigの定番であるジャズフェスティバルとパイオニア、この2つのスネアの違いについて解説したい。
ラグの数が違う
結論から言おう。ラグの数が違う。違いはそれだけだ。
ジャズフェスティバルはラグが8つ、パイオニアはラグが6つだ。
60年代ludwigの2つの違いはこのラグの数だけであり、スネアのシェルやフープの素材などは全て一緒である。
(フープは空いている穴の数はそれぞれ6と8になるので当然違うが、材質は一緒である。)
ラグって何?
ラグというのは、テンションロッドを支えるパーツのことだ。
このラグにトップとボトムからフープを通してテンションロッドを締めることでヘッドが貼られる。
なぜ、ラグの数が違うのか?
これは単純にコスト削減のためと言われている。60年代当時、コスト的に高かったのがラグやフープ、テンションロッドなどの金属類だったのだ。
実はシェル自体はそんなにコストは高くない。
高いコストを少しでも抑えようということで、ラグの数2つを減らせば、テンションロッドも4本減らせていいんじゃね?ってことで発売されたのがパイオニアモデルになる。
このパイオニアモデルはスチューデントモデルとして発売されていた。いわゆる、ビギナーモデルみたいな感じだ。
ジャズフェスティバルとパイオニアの値段の違い
ジャズフェスティバルとパイオニアでは値段がかなり違う。
60年代当時はジャズフェスティバルで74ドル、パイオニアで54ドルで概ね20ドルの差があったようだ。
パイオニアはラグとロッドの数がジャズフェスティバルよりも少ないが、その材料費だけでは20ドル分の値下げは無理である。
なので、学生でも買えるようにジャズフェスティバルよりも利益率を抑えて安く販売したのだろう。
それぞれのスネアの現在の価格
ビンテージということもあり、ジャズフェスティバルとパイオニアではかなり相場に差が出ている。
楽器店で購入するかオークションなどで購入するかで違うが、いずれにしても確実にジャズフェスティバルの方が高価だ。
目安としてはジャズフェスティバルで5万円~10万円、パイオニアで3万円~6万円くらいが相場になると思う。概ねパイオニアの2つ分でジャズフェスティバルという感じだ。
ビンテージものなので、コンディションやスネアのラップの種類によって価格は大きく変わる。
例えば、ブラックオイスターパールのジャズフェスティバルは60年代当時にリンゴスターが愛用していたこともあり、非常に高値で取引されている。
本当にコンディションの良いものならば50万円を超えることも珍しくない。
それに呼応するようにパイオニアモデルでもブラックオイスターパールは高値になっていて、10万円を軽く超えてくる。
(もちろん、コンディションにもよるが。)
ブラックオイスターパールの次に高価なのが、ブルーオイスターパールだ。ただし、こちらはブラックオイスターパールに比べれば、そこまで高値にはならない。
概ね、通常モデルの2倍~3倍くらいの値段であろうか。この2つ以外はラップの種類で大きな価格差は無いように思う。
ジャズフェスティバルとパイオニアどちらが良いか?
シェルの材質は同じなのだから、両方とも音の質感は非常に似ている。
では何が大きく違うのか、というとチューニングのまとまりやすさだと思う。
チューニングしやすいジャズフェス
ジャズフェスティバルはラグが8つあるので、8つの支点によってヘッドが貼られている。
パイオニアはラグが6つなのだから支点が6つしかない。当然、支点が8つあるジャズフェスティバルの方がチューニングがまとまりやすい。
現代ドラムでラグが6つのものはほとんど無い。大抵は8ラグか10ラグになっている。つまり、やはり6ラグはスタンダードには無らなかった、ということであろう。
60年代のパイオニアはコストダウンのために6ラグにしただけであり、緻密なチューニングを求めているならジャズフェスティバルがお勧めだ。
ビンテージらしさのあるパイオニア
支点が6つのパイオニアは大雑把なチューニングになりがちだ。
しかし、この大雑把さがいかにもビンテージらしい、ということでジャズフェスティバルよりもパイオニアを好む人もいる。
現在では6ラグのスネアドラム自体が少ないし、あえて6ラグを好む人は60年代のパイオニアやスリンガーランドのスチューデントモデルを愛用している人も多いのだ。
値段に関してはパイオニアの方が安いのは間違いない。音のクオリティという面に関しては、パイオニアでも遜色は無い。シェルやパーツの素材は全く一緒だ。
少し大雑把なチューニングが好み、もしくは許容できるという場合には安価なパイオニアを選択するのも良いと思う。
自分ならどっちを買う?
価格も考慮すると、私ならパイオニアを選ぶ。
usadrumshopではパイオニアもジャズフェスティバルも仕入れたが、いずれも素晴らしいスネアだった。
当時の貨幣価値が今とは違うとは言え、パイオニアは50ドル程度で売られていたものとは思えないクオリティだと思う。
チューニングは確かに少しやりにくいが、正直、sonorなどと違ってludiwgは大雑把なチューニングでも結構いける。
完全にそれぞれのテンションが揃ってなくても、ある程度、音がまとまってくれるので扱いやすい。
なので、パイオニアモデルでも大きな支障は無いと私は思っている。もちろん、求める音やジャンルにもよるとは思うが、私ならパイオニアモデルを使う。
もちろん金銭的に余裕があればジャズフェスティバルを買うぞ。