ドラム機材

ビンテージドラムのフープの歪み【ラディック(ludwig)など】

歪んでいるフープ

ビンテージドラムを購入する際に錆や汚れは肉眼で確認出来る。

しかし、フープの歪みの確認はなかなか難しいのではないだろうか?

ここでは、ビンテージドラムのフープの歪みについてお話したい。

ビンテージドラムのフープは歪んでいる

ビンテージのオリジナルフープは基本的に多少の歪みを伴っていることが多く、完全にラウンド(円)で歪みが一切ないフープはなかなかない。

特にラディックは80年代に入るまではフープが薄い傾向があり歪みやすいのだ。
(10個のビンテージスネアを仕入れたら7~8はフープに問題があった。)

どちらかというとボトムフープの方が問題となることが多い。
ボトム側はスナッピーを通す必要があることからセットする場所が固定されてしまうからだ。

フープを1つずらして固定

写真では1つ分、フープをずらしてみたが、これで固定するということが出来ない訳だ

その上、スナッピーを通す部分には穴が空いているのでこの部分は耐久度が弱い。

それに加えて、スナッピー付近の4隅をハイピッチにするとチューニングが安定しやすく、それを好むドラマーが多いことから、どうしてもその4部分に負担がかかりやすい。

ここの2か所とこの反対側の2か所をハイピッチにチューニングするドラマーが以前は多かった。フープに負担がかかる場所
そのため、この計4か所に負担がかかる。
さらにはスナッピーで締め付けられる訳だから、40年、50年と時間が経てばボトム側が歪みやすいのも納得と言える。

フープの歪みの基準

フープの歪みには2つの基準があると思う。

1つはラウンド(円状)かどうか。もう1つは平行かどうか。

この2点を総合して歪みがあるか、を判断している。

ラウンドかどうかについてはフープがヘッドに引っ掛かりなく置くだけですっぽりと入れば問題無しとしている。
(すっぽり入っても明らかに歪んで見える場合には別だ。)

多少でも自分で入れないとはまらない場合(はめ込まないといけない場合)には歪みありの判断になる。

ただし、歪みが無くてフープが全体的にスモールサイズなだけの場合もある。
フープが歪んでいる場合には大抵は、はまらない箇所と逆にオーバーサイズになっている箇所があるのだ。

歪んで部分的に形がいびつになっているからだ。平行かどうかに関しては平らな面にフープを置くことで簡易的に判断出来る。

こちらは状態が良好なフープだ。

歪みが無いフープ

他の部分は隙間がなく、この写真にある一部のみわずかな隙間がある。
非常にわずかな浮きがあるがこのレベルは許容範囲だ。ビンテージで言えば、かなりの良品と言える。

紙1枚入らないレベルで全く隙間が無いフープはビンテージフープにはほとんど無い。(少なくともアメリカには)

5000円出して買った完璧なコンディションというフープでさえ先ほど紹介したフープ以上に歪みがあったのだ。(泣)

この辺りはアメリカクオリティと言われればそれまでではあるが。

さて、こちらは問題ありのフープだ。

歪んでいるフープ
これで、だいたい3.5MM程の隙間がある。これはかなり歪みありの判定となる。

なぜ、フープの歪みがよくないのか?

なぜ、フープの歪みが問題になるかと言うと、チューニングが困難になるからだ

円状の歪みが酷いとテンションロッドを通す穴がラグの真上ではなく少し別の場所に位置してしまう場合がある。

テンションロッドが斜めに曲がって見えるスネアは要注意だ。

ロッドが曲がって見えるフープ

こんな感じである。
特にこのような6半のスネアなど胴が深いと顕著になりやすい。

またフープに大きな歪みがある場合、その分だけテンションロッドがラグに近く(または遠く)なるということになる。

となると、その歪んだ部分だけテンションロッドを強めに(または緩めに)調節する必要があり均等なチューニングが難しくなる。

円状の歪みと平行面の歪みが複合した状態のかなり悪いフープの場合、

10ラグでテンションロッドが1箇所は完全にゆるゆるになっているのにその部分のピッチが高い、
または逆に1か所だけ超強めに締めているのにその部分だけピッチが低い

というような、アンバランスな状態になってしまう可能性があるのだ。

もちろんシェルに歪みがある場合には、ラグ自体の位置が歪むので上記と同じような現象が起こり得る。

フープは替えればすむが、シェルが歪んでいるとシェルをリペアするか取り換えるかしないといけないのでこちらは最重要項目になる。

チューニングに決まりはないので必ず全て同じピッチにする必要はないと思うが、同じピッチにすることが出来ないのは問題だ

フープが歪んでいると、どんなにチューニングが上手い人でもなかなかチューニングが定まらない。

なので、チューニングがしやすいか、同じピッチに早く仕上がるかを一番のポイントとしてフープの状態を見極めるべきだ。

当たり前だが、新品のスネアならばまず問題ないので、ビンテージのスネアを購入する際にフープに注意しよう。

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